JSOXの運用段階の課題及びソリューション [証憑書類管理の重要性]
証憑書類管理が重要となる理由
企業には多くの書類が存在し、また多くの書類が企業間で授受されます。その中には、契約書、注文書、請求書のような売上に係る伝票・書類や発注書、納品書、仕入請求書のような仕入れに係る伝票・書類もあります。JSOXは米国SOXに比較して以下のような理由で証憑書類管理がより重要になっています。
「原票との突き合わせによる正確性」が求められる
JSOXは監査法人に対し、米国SOXのような直接監査ではなく、企業自身による内部統制の評価に対して間接的な監査を要求しています。そのため、監査法人は内部統制報告書の信憑性に注力して監査を行うことから何らかのエビデンスをもって確認する事を企業に求めます。
その必然として、取引の正確性のエビデンスと して原票との突き合わせによる正確性が求められる事になります。これは昨今の「生損保業界の保険金未払い問題」や「社保庁の年金支払い期間の不整合問題」の対応と同様に「原票突き合わせによる取引の正確性の確認」を求める事になります。またその結果として不正取引の未然防止にも通じる事が期待されるのです。そのため、実際のサンプルテストでは図2に示すような原票との突き合わせ作業が必要となり、その記録は重要なエビデンスとなります。
実際にサンプルテストやモニタリングを実施する中で、わざわざ原票をキャビネや倉庫から探し出したり、最悪の場合は別の拠点からコピーを取り寄せて、業務システムの取引照会画面や帳票と突き合わせ確認する事は、非効率的であると共に作業品質の低下も招きかねません。
表1 サンプルテストの例
- 統制の目的 売掛金管理
- (売上計上)出荷されたすべての製品に対する請求はしかるべき会計期間に正確に行われていること(出荷基準の場合)
- 統制上のリスク
- 1. 書類が紛失し、不正確な情報が登録される
- 2. 期末における出荷の締め切りが不適切である
- 3. 出荷した製品が正確に顧客に届いていない
- サンプルテスト手順
- 1-1 2007年7月、8月の連続しない営業日の25日分を選択し、各日より1件(合計25件)の出荷指示書を入手する
- 1-2 上記25件について、出荷条件が社内契約標準と合致しているか確認する
合致していない出荷指示書は営業部長の確認印が押印されているか確認する - 1-3 上記25件について、請求書(控)と出荷指示書を突合し出荷内容が合致しているか確認する
- 2-1 2008年3月の出荷管理表より合計25件の出荷票を入手する
出荷票は同一の顧客宛でないこと - 2-2 上記25件の出荷書類をすべて入手し、当期の出荷か期末後出荷かを確認する
期末後出荷、期末内出荷双方とも適切な処理をされていることを確認する - 2-3 上記25件について請求書(控)を入手し出荷票の明細と一致しているか確認する
また請求日が当期末までの日付になっているか確認する - 3-1 2007年7月、8月の連続しない営業日の25日分を選択し、各日より1件(合計25件)の出荷票を入手する
- 3-2 上記25件について顧客からの納品受領書を入手し顧客の受領印が押印されているか確認する
- 3-3 上記25件について納品受領書の記載内容と出荷票とともに該当する出荷番号の出荷データと合致するか確認する
- テスト結果
- テスト手順1-2について合致していない出荷指示書が3件あり、そのうち1件に営業部長の押印がされていなかった
確認したところ当日経理担当者は出張をしており、不在であることが確認できた
出張記録を確認したところ休暇届を事前に提出済みであることがわかった…(以降省略)
- 判定
- 担当不在時の確認ルールが明確でないため早急にルールを明確化することを依頼した
当該事項を指摘事項として、期末に再テストを実施する
赤字の部分は実際の原票と照合することになると、保管されている資料を探して抽出する作業が発生する保管場所が散在していたり他部門に跨っている場合は、すべての資料を抽出するには時間と労力が掛かるこのようにJSOXでは証憑書類管理が非常に重要なテーマになります。
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